【観光】SWOT分析

SWOT分析は「使える」のか?

先日、中小企業診断士や税理士の方たちが集まるマーケティングのセミナーで、講師がそんな問いを発しました。

これに会場の7割が「使える」と挙手で回答し、3割が「使えない」と回答しました。
私の回答は、「使える」。

この時、「使える」と答えた方の大半が苦笑いしていたのですが、その意味は、よく分かるような気がします。
なぜなら、「使える」と回答した私も、マーケティングの現場では「(あまり)使わない」からです。

 

SWOT分析は難しい!

SWOT分析は、自社の「強み」「弱み」と、外部環境の「機会」「脅威」を整理し、
そこから事業戦略を検討する超有名なフレームワークです。

その有用性に疑いはないのですが、実は、使いこなすのが非常に難しい手法でもあります。

SWOT分析では、あくまで自社の「強み」「弱み」をベースに分析が進みます。
この時、SWOT分析に不慣れな分析者は、客観性に乏しい思い込みで「強み」「弱み」を抽出しがちです。
その結果、現実にそぐわない「バラ色の未来」が予測されることも珍しくありません。

 

例えば。

観光地の旅館のケースを考えてみます。
その旅館では、自社の強みを「地元の名物を活かした料理」と考えており、HP等で、「地元の名物」を訴求することに熱心です。(良くみかけるヤツです)

けれども、「地元の名物」だったら、同じ観光地の他の旅館だって提供しているでしょう?
だから、相対的に見て「強み」とは言えない。
相対的に差がつくのは、「料理人の腕」「料理の見栄え」「特別な料理手法や提供方法」になるでしょう。
ところが、旅館の多くは「器」や「料理人そのものの演出」等には無頓着です!
(新鮮な魚介の写真や大きなステーキ肉の写真は、嫌と言うほどアピールしているのに!)

マーケティングは、「新規顧客の創出」と「既存顧客のリピート化」を目的にします。
そしてそのプロセスには、多くの場合競合との争いがあります。
常に競合と自分との比較=相対化によって、厳しく自己評価する必要があるのです。

その点、個人的にはSWOT分析での相対化は難しいなあ、と思います。
熟練の分析者は、きちんとSWOT分析にも厳しい相対評価の視点を取り込んでいるのですが、誰にでも出来ることではないでしょう。
マーケティングでは、自社と競合がどんな顧客を奪い合うのかを分析する「3C分析」と、自社のサービスを「品質、価格、広告、チャネル」で分析する「4P分析」の方が、より妥当性の高い結論を導き出しやすいのではないでしょうか。

 

でも・・・

観光庁が旗を振っている「日本版DMO法人」(観光地経営を担う団体)の設立ガイドブック?には、観光地分析の手法として「SWOT分析」が推奨されています。

まずは自分たちの強みや弱みの把握から始めよう!という気持ちは分かるのですが、そこからマーケティングに展開していくプロセスには、大小の石ころが沢山転がっています。私がご相談に載るケースも、ここでの躓きが多いです。

繰り返します。

「SWOT分析は難しいです!」

観光地経営は、今後の日本の成長を展望した時、とても大きな意味を持ちます。だからこそ、思い込みの「強み」をもとに、お花畑な計画が乱立することには注意を喚起いたします。

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